質屋の店頭で販売されている商品は、すべて本物なのか | 創業大正9年の須賀質店
失敗しない質屋選び
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質屋の店頭で販売されている商品は、すべて本物なのか

最終更新日 2024年3月11日

【質問】

質屋の店頭で販売されている商品は、すべて本物なのでしょうか?

 

【回答】

 

当店では店頭販売をしていないので、一般的なお話をさせていただきます。

 

質屋では毎日の業務で真贋の腕を磨いておりますので、本物だと思っていただいて間違いないです。さらに、販売する前にはさらに厳しく慎重に商品を検品し、鑑定の技術も向上させているので、買い取り品や質流れ品で販売されている時計やバッグ、ジュエリーが偽物というのはまずありえません。

 

 

質屋以外のブランド買い取り店や宅配買取の専門店であっても、買い取り時は十分な鑑定をしたうえで、買取の契約書や同意書を取り付けて、買取不可の場合は電話等で連絡し返金を求めるような店舗もあるようです。

 

 

並行輸入の時計販売店やバッグ販売店でも偽物というのはまずないと思って間違いないです。もし心配でしたら、時計であればご購入後に正規店にお持ちになってオーバーホールの見積もりを頼んでみてはいかがでしょうか。

 

オーバーホールを受け付けてくれるようでしたら本物で間違いありません。バッグや財布の場合は正規ブティックによってはクリーニングのようなサービスを受け付けてくれることがあります。

 

 

この質問で「すべて本物なのでしょうか?」という部分は、偽物があるのではないか、という疑問があるからだと思われます。本物の対義語は偽物であるという前提がありますが、ここで偽物の意味を確認しておきます。

 

 

【目次】
①偽物とは何でしょうか?

 

②一部偽物、という製品が存在する?

 

③見た目はとてもきれいな一部偽物、が存在する?

 

④まったくの偽物、スーパーコピーが存在する

 

⑤偽物にはどんな商品があるのでしょうか

 

 ○金やプラチナの偽物に、Pt900とか750といった刻印を打つ

 

 ○プラチナ製品ではあるが金属の種類が異なる刻印がされている

 

 ○ブランドジュエリーをそっくりまねてコピー商品を偽造する

 

 ○本物の宝石に似せた類似石が存在する

 

⑥偽物、コピー品と知っていて故意に売却しようとしたら・・・

 

⑦質屋の店頭で販売されている物はすべて本物なのか まとめ

 

FAKE1

①偽物とは何でしょうか?

ウィキペディアによれば、偽物(にせもの、ぎぶつ)とは、本物ではない物、および、本物ではないという抽象概念のこと。対義語は、本物(ほんもの)、真物(しんぶつ、まもの)。また、人間の偽物は偽者(にせもの)と言う、とあります。

 

 

質屋の現場で仕事をしていると、例えばロレックスデイトナの時計やカルティエサントス100の時計にそっくり似せた時計が持ち込まれることがあります。バッグや財布でもエルメスバーキンやルイヴィトンラウンドファスナー財布をコピーしたのではないかと疑いたくなるような商品が査定の現場に持ち込まれることがあります。

 

 

これらのよく似た時計や鞄、財布は、明らかに偽物でありますが、私ども質屋は正規品の製造者ではないので、本物・偽物を判断する立場ではないという判断から「わからない製品」という扱いをしています。

 

 

本物かどうかの判断が出来るのは、製品を作ったメーカーが認めた査定員のみであるという考え方によるものです。質屋はメーカーの認めた査定員ではありませんから、本物か偽物かはわかっても皆さんにお伝えする立場の人間でないということです。

 

質屋に査定に商品を持ち込んでみて、担当者から「こちらはわかりません」とか「当店では扱えません」と言われたとすれば、ほとんどの場合偽物であると思って間違いはないと思います。偽物ではない場合のいくつかのパターンをこれからお話しいたします。

 

 

②一部偽物、という製品が存在する?

質屋の店頭に持ち込まれる製品は、そのほとんどが中古品のために、新品で購入されてから長期間使用されることになります。この間、所有者が変わったり、その所有者によっては使い方が乱暴であったりすると、傷が付いたり傷が付いたり、時計の様な精密機械であれば機械が不調になったりすることがあります。

 

 

このように傷ついたり、壊れてしまったりしたブランドバッグや高級腕時計を、皆さんはどのように扱うでしょうか?通常であれば、そのメーカー(製造者)のアフターサービス部門で修理なり部品交換を受けることになると思いますが、一部の製品はこうしたメーカーのアフターサービス部門のサービスを受けずに修理され、再度中古品市場に出回ってくることが有ります。

 

 

ブランドバッグやブランドジュエリー、高級腕時計などは、修理個所によってはメーカー修理を受けていないことがはっきりわかる場合があります。バッグや財布の場合、製法が明らかに異なってきますし、時計の外装部品の修理であれば部品の接続部分の仕上げや色がまったく異なります。

 

 

特に修理個所に汎用品の部品を流用して修理したりすると、「メーカーの正規品でない改造品」という扱いをせざるを得なくなり、中古品市場での価値も大きく下がってくるのです。

 

 

FAKE2

③見た目はとてもきれいな一部偽物、が存在する?

ロレックスやカルティエ、パテックフィリップといった高級腕時計は、長い伝統に裏付けされた時計としての精度や信頼性が高いために高級な精密機械として高価な値段が付くのですが、これらの高級メーカーの時計は宝飾品としての価値も高いものがあります。

 

 

時計のケースやブレスレット、尾錠などにステンレス素材を使った製品だけでなく、18金イエローゴールドやホワイトゴールド、プラチナなどの貴金属を使用した製品もたくさん販売されています。

 

 

こうした貴金属を使用した高級時計の中には、ダイヤモンドやルビー、サファイアなどの宝石を埋め込んでさらに価値を高めた製品もあり、新品の店頭価格が1000万円以上になるものも珍しくはありません。

 

 

これらの宝石付きの時計は大変高価で取引されるために、一部の業者は宝石の付いていない高級腕時計を手に入れて、メーカー正規品と同じような宝飾を施して販売している場合があります。

 

 

このようなメーカー正規品でない宝石が付いた時計は、②でご案内したものと同様に「メーカーの正規品ではない改造品」という扱いになって、中古品市場での価値も下がってきます。見た目は正規品と同様に見えるにも関わらず、価値は大きく下がってしまうというのは残念なことですね。

 

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④まったくの偽物、スーパーコピーが存在する

高級ブランドメーカーの時計やバック、ジュエリーをそっくりまねた偽物、コピー製品という物は確かに存在します。ヤフーオークションや楽天の様なネット販売サイト、メルカリなどのフリマサイトには一見正規品に見えるような商品でも極端に安く販売されていたり、正規のルートで仕入れたものでない説明がしてあったり、買取業者や質屋が見れば違和感を持つような商品が展示されているのを見たことが有ります。

 

もし皆さんが偽物やスーパーコピーを手にすることを絶対に避けたいと思うのであれば、避ける方法は一つしかありません。それは正規店で購入すること、これ以外は有りません。

 

 

インターネットオークションや中古ブランド販売業者、質屋などから購入する場合は、偽物やコピー製品であるリスクはある程度もって購入するに必要があります。これらの店であっても、創業から長い、有名店で信頼性が有るなどがわかる店であれば、万が一のトラブルの時でも誠実な対応をしてもらえると思います。

 

 

⑤偽物にはどんな商品があるのでしょうか

質屋の店頭には、どのような偽物が持ち込まれてくるのでしょうか。現役の質屋として、ニセモノとかコピー商品、模造品の流通は防がなければならない立場にあるのですが、この場で皆さんにいくつかご紹介します。信頼できる販売店で購入すれば、本来はこうした偽物やコピー品を入手することはないはずなので、皆さんは購入するお店、売主の信頼については十分ご注意されることをお勧めします。

 

 

○金やプラチナの偽物に、Pt900とか750といった刻印を打つ

 

こちらのネックレスですが、冠の部分にプラチナ、金の表示である記号が打ち込まれています。Pt900⇒プラチナが90%含まれている、750⇒金が75%の割合で含まれている18金である、という意味ですね。とうぜん、皆さんはこのネックレスは貴金属で出来ている、と思いますよね。

 

 

でもこのネックレスは、金もプラチナも全く含まれていない偽物です。金色の部分はメッキ製、銀色の部分はプラチナでなく銀製品だと思います。

 

もし、貴金属についてまったく知識のない方が、「18金とプラチナのコンビネックレスですよ」と言われたら、信用してしまうでしょうね。インターネットで安く売られていたら、買ってしまうかもしれません。後で偽物とわかっても、店舗も持たずにメールアドレスしか連絡が出来ない売主であれば、クレームを言ったり返金の依頼も出来ないことになります。

 

 

○プラチナ製品ではあるが金属の種類が異なる刻印がされている

こちらの指輪ですがPT950の刻印が有りましたが、実際調べてみると950でなく900でした。Pt950であれば、プラチナが含まれている割合が95%、Pt900であればプラチナが含まれている割合が90%の製品であることを意味しているので、プラチナの含まれている割合が5%ほど足りないことになります。

 

この指輪は、PT950の刻印の前にBFという、よく意味の分からない刻印があったこと、Pt950製品としては色に明るさが無く黒っぽかったことで、査定員はすぐに取引せず調べるためにお預かりしたのでした。たくさんの宝飾品を取引した経験のある、須賀質店の査定員だからこそ出来たことで、一般の方はプラチナ950の指輪と見てしまうでしょう。

 

 

こちらの事例のように、貴金属の種類の異なる刻印が打たれていることは、たまにある事なのです。銀製品に750、K18WGといった18金の刻印が打たれていたり、おなじく銀製品にPt900、Pt850といったプラチナの刻印が打たれている事例です。

 

 

宝飾品を製造する人間が、刻印を打ち間違えることはほぼないので、刻印をごまかし購入者をだまして儲けてやろうというという意図が見えてきます。もし、こうした偽造品を購入してしまったとしても、売主が店舗を構えて長く営業して連絡も取れる業者であれば、責任をとって誠実に対応してくれるに違いありません。

 

 

○ブランドジュエリーをそっくりまねてコピー商品を偽造する

一流ブランドメーカーのブランドジュエリーは、一般的なジュエリーよりもはるかに高額で売買されるので、偽物やコピー商品が出回る確率は高くなってきます。画像のリングはCARTIERの刻印が有りますがCARTIERのリングではありません(撮影の都合で上下が反対になっています)

 

こちらの画像は、カルティエアントルラセリングの偽物、模造品です。CARTIERの刻印、18金であることを表す750の刻印、サイズを表記する62の刻印がはっきり見えますね。シリアル番号をあらわす773527という数字まではっきり刻印されて、本物と間違わせようという意図が見えてきます。

 

この指輪を購入した人はカルティエの正規ブティックで購入したのでしょうか、そんなことは絶対にないですね。中古ブランド品店やインターネットで個人から購入したのかもしれません。この画像の商品がとても安く、しかも「カルティエ製アントルラセリング」として売られていたら、間違えて購入してしまう人がいるかもしれませんね。

 

 

質屋で普段から宝飾品を多数扱っている者としては、信頼できない売主がとても安くブランド品を販売しているのを見ると、「本当に大丈夫なの」と疑ってみるのですが、例えばこの事例の様にカルティエアントルラセの模造品が出回っていることを知らない方は購入してしまうかもしれません。

 

こちらの画像は、カルティエCハートリングの模造品です。先にご説明したアントルラセリングと同様にCARTIERの刻印、18金であることを表す750の刻印、サイズを表記する51の刻印が見えます。NP8301というシリアル番号の刻印もはっきりと見えますね。

 

このカルティエCハートリングはケースまでついていて、ブランドジュエリーに模造品やコピー商品が出回っていることをしらない方であれば、少し安く売られていれば購入してしまうかもしれません。ここまで本物のカルティエリングをまねて作っていると、購入する人をだまして儲けてやろうという悪意を強く感じます。

 

 

○本物の宝石に似せた類似石が存在する

こちらの指輪に付いている透明の石は、ダイヤモンドに似せた類似石で「合成モアッサナイト」と呼ばれる石です。宝石としての価値は、ダイヤモンドが数万円から高価なものは千万円単位の価値になるものもある反面、この合成モアッサナイトの価値は限りなく0円です。

 

そのために、昔から質屋業界や宝飾業界では出回ることがありました。こうしてプラチナや貴金属の指輪に組み付けて質入れや買取に持ち込めば、ダイヤ付きのプラチナ指輪として取引されてしまうことがあるからです。質屋や宝飾業者をだます詐欺師が、以前からいたことになりますね。

 

この合成モアッサナイトを一般の方が入手することはないので、質入れや買取の現場に持ち込まれた場合は、偽物や偽造品を扱う反社会的プロフェッショナルということになるでしょう。

 

 

 

⑥偽物、コピー品と知っていて故意に売却しようとしたら・・・

現在大変作りの良いスーパーコピー品などがインターネットで簡単に手に入れる事が出来るようになり、悪意を持った人間の場合、本物と偽り買取店に持ち込むケースが増えています。

 

もし売却しようと考えている品物が偽物、コピー品と知っていながら売却すると、詐欺罪や商標違反で逮捕される可能性があります。

 

インターネットでスーパーコピーや偽物が売れると言うような話を見かけますが、軽い気持ちで行うにあまりに危険ですので絶対にやめるようにしましょう。

 

⑦質屋の店頭で販売されている物はすべて本物なのか まとめ

偽物やコピー品、模造品について、いくつか例を出してご案内してみました。偽物やコピー品の中には、スパーコピーと呼ばれるような精巧な偽物も存在することは事実です。しかし、こうしたスーパーコピーと呼ばれる見た目がほとんど変わらないブランドバック、パッと見宝石がたくさんついたきれいな時計であっても、質屋の目でじっくり見ると正規品ではないな、というのがわかることが多いのです。

 

 

質屋が運営している販売店では、こうした時計が売られていることはまずありませんが、ブランド品の購入は高価な買い物になりますので、質屋やリサイクルショップを利用することもあるとはいえ、信頼のおけるお店で購入することと、どうしても本物かどうかにこだわるのであれば正規ブティックで購入することをお勧めいたします。

 

そして、正規ブティックで購入できない時は、売主は信頼できるのかどうかをじっくりと見極めましょう。直接会ったこともない店舗も持っていない個人と、高額品である宝飾品やブランドジュエリーの売買をした時に、もしその品物に不備があった時に、誠実な対応が出来る者なのかをじっくり考えてみると良いと思います。

 

 

質屋の店頭で販売されている物はすべて本物であると、このサイトの運営会社である須賀質店では確信しています。それは同業の質屋として、偽物やコピー品の排除に日々尽くしている立場の者として言えることです。ただし、偽物やコピー品は確かに存在していて、質屋の取引現場に現れることがあるために、質屋の販売商品に偽物やコピー品がまったくありませんと、言い切れないことも事実です。

 

もし質屋が偽物やコピー品を販売してしまった時にどうするかと言えば、誠実にお客様に対応するに違いないと思います。それは、多くの質屋が何十年も地元の方々に支持されて営業を続けてきたという、信頼と実績を守るためであるといえます。質屋の店頭で販売されている物はすべて本物であると信じたいが、もしも偽物であった場合でも、質屋は誠実にお客様に対応するに違いありません、という結論でこちらのページを終えたいと思います。

この記事を書いた人
須賀兼一
代表取締役
平成16年4月より須賀質店の代表取締役を務めています。質屋のシステムやビジネスモデルについて、初めてご利用する方にもわかりやすく解説することを心がけています。質屋でお金を借りることは、銀行や消費者金融からお金を借りる手法にはないメリットがあるのです。現役の質屋でしか語れない「質屋の便利な使い方」について、当Webサイトで解説しています。